◆洋三とファミリーマート 第252号◆
● 2007/06/11 UP ●
<美しすぎる心・後編>
「兄さん、バンドやってますの?」
と声をかけられました。
その声をかけて来た方は
僕の家の向かい側にある
電気工事会社のシャッターの元々のペイントを
新しく塗り変え、リニューアルしてはりました。
塗装業の職人さんの様なんですが、
正に職人技炸裂で、会社名やちょっとしたデザインなど
人間の手でやったとは思えないほど
正確に美しくペイントしてはりました。
年齢は50代半ばくらいの白髪まじりの作業服の方でした。
「私も音楽してますねんで。」
お話を聞くとこの職人さん、
今から3、40年前のキャバレーなどの夜のお店に
必ず専属バンドがあった時代の
バンドマンの方なのでした。
その世代のバンドマンの方のお話を聞くと
当時は演奏して稼げる場が沢山あって
かなり裕福な生活をしてるバンドマンが多かったそうです。
職人さんもそのお一人で
当時はギターでかなり稼いでいらした様なのですが、
次第に夜のお店の専属バンドは
かなり人件費がかるので
経費削減の為無くなっていったり、
お客さんの歌の伴奏を生バンドで演ってたのが
カラオケが登場してから
生バンドが必要無くなっていったりで、
バンドマンのお仕事は無くなっていったそうです。
そして塗装業の職人になった、との事でした。
でも今でも演奏のお仕事の依頼があれば
やってはるそうです。
演奏のお仕事って楽器別で呼ばれて
現地で寄せ集めバンドでやる事が多いですが、
職人さんの所は昔からずっと一緒にやってる
固定メンバーのバンドで動いてるそうです。
大宴会場のある昔ながらのホテルの様な所で
主に演歌を中心にされてる、との事でした。
そして最後に「何かあったら連絡頂戴ね!」と
名刺をくださったのですが、
死んだ犬を救出したのが
まさかその職人さんだったとは?!
お話させて貰った時は感じの良い方だなあと思ったのですが
その反面、30年以上生きて来て
人を疑うというクセがついてしまい
どこかで壁を作って接していました。
でもこの職人さん、
交通事故で亡くなった見ず知らずの犬に対する姿勢からして
僕に対して、そして同じ音楽に携わってる人間として
凄く純粋に接して下さってたのだなあと
非常に申し訳ない気持ちになりました。
ここでお話して以来職人さんとは一度もお会いしてないのですが、
またいつか、ちょっと難しいかもしれないけど、
今度は純粋な気持ちで職人さんとお話したいです。
<完>
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